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「ブロードウェイ・ブロードウェイ」

1975年から1990年まで、16年のロングランを続けた名作「コーラスライン」が、
2006年再演されることが決まり、オーディションを行った。
集まった人たちは、なんと3000人!
「踊れる」と書けば、誰でも受けることができるため、
とはいえ、
皆そうそうたるダンスキャリアを持った人々である。
必死・本気・すべてを賭けた人々の中で、勝ち残れるのはたった19人!
そこから始まる長い長いオーディション風景を追ったドキュメンタリー映画
「ブロードウェイブロードウェイ」は、
まさに「コーラスライン」の物語そのまま
逆にいえば、この作品のナンバーたちが、
いかに真実を描き出しているかを証明する場にもなっている。
名うてのプロデューサーや振付家でなくても、
私たちのような「映画の観客」であってもわかる
歌の上手さ、声のよさ、体の切れ、セリフにこめた感情。
その日の体調不良や精神的な戸惑いから、
まったく実力が出せない人々も、それらが如実に顕われてしまうところが恐ろしい。
それにしても。
なんと過酷な世界だろう。
みんな受からせてやりたい、と思ってしまう。
こんなに必死にがんばって、
日々努力して、
それでも落ちる人は、落ちるのだ。
最終選考の舞台の袖で、
自分のライバルの姿をそっと覗く、その目の絶望。
わかってしまう。
あの人の方が、うまい、と。
一次選考から二次、三次、そして最終と、
オーディションはまる1年かかっている。
その間に、
彼らにも変化があるのが興味深い。
明らかに、成長してくる人がいる。
一方で、
「積み重ね」ができていない人がいる。
努力の時間は同じ、
努力のエネルギーも同じ。
しかし、
そのベクトルの方向が照準に合っていなければ、
すべては水泡と帰すのだ。
生きるって大変。でも、
生きるって、素晴らしい。
彼らほど、私は努力をしているだろうか。
彼らほど、私は一生けんめい生きているだろうか。
最高の歌と踊りとを楽しみながら、
「生きる」をおしえてくれる映画。
それが、「コーラスライン」。
ミュージカル好き、舞台好きの人は絶対に見るべき。
そうでなくても、必見。
特に、若い人に見てもらいたい。
ただ待っているだけでは、人生は開けないことを学べます。
この映画の原題は、「Every Little Step」なんです。
それにしても。
行きたくなった。ブロードウェイ。
本場の「コーラスライン」、見たいです。

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