9月10日の夜公演では、
別所哲也さんを司会に、新妻聖子さん、井上芳雄さん、泉見洋平さんの4人が
トークイベントのために残ってくれました。
まずは「亡霊」トゥイが白~い照明の中ゆっくり舞台を横切る
・・・というオープニングから。
4人ともサービス精神旺盛で、
特に別所さんと井上さんが代わる代わるチャチャを入れて場を盛り上げるという、
楽しいお話満載の30分でした。
ここで印象的だったのは、
「4人とも再演だね」というところから始まった
再演ならではの役作り。
「こうしてみない?」と、みんなでいろいろ提案や相談をしながら、
やればやるほど、日々進化しているそうです。
キム役の新妻さんは、
第一幕の、二人の関係をより深めたいとのこと。
なぜキムにはクリスが、クリスにはキムが必要だったか。
キムとクリスの出会いの意味を問い直しているといいます。
「キムは村を焼かれ、親を亡くし、サイゴンに出てきたらすぐに売り飛ばされ、
ゆっくり泣くひまもなかったはず。
クリスは、自分の心の中の怒りや哀しみをぶつけることができた
初めての人。だから特別なんじゃないか」
一方、「僕はクリスという役が大好き」という井上さん。
「クリスって、悲しい境遇だと思うんです。
平均的な、一般的なアメリカ人だったのが、
ベトナムに行ってショックを受けて、
それでアメリカに帰ったらそこでも受け入れてもらえず、
またベトナムに戻ってきても虚しい。
アメリカでもだめ、ベトナムでもだめ、
そこでキムに出会って幸せになれるかと思ったら、
そのキムとのことでも希望が崩れる・・・。
その後だって、
クリスは、本当は(物語が終わった後の)これからが大変。
タムは引き取るだろうけど、
エレンと二人でちゃんと育てていけるのか、エレンとはうまくいくのか・・・」
みんな、役の人生を生きているっていう感じです。
「いつ役になりきるか?」というのも、面白かった。
それぞれ、入っていくタイミングが違います。
新妻さんは、舞台のそでで、最初のヘリコプターの音を聞いた瞬間から。
井上さんは、舞台そでのカーテンをくぐって舞台に立ち、照明が当たった瞬間に。
泉見さんと別所さんは、音楽を浴びながら、じわじわと。
二人とも相手役とのキャッチボールをしながら、だんだん役にはまっていくタイプ。
一度役が入ったら、別所さんは裏のほうでも踊っていたりするそうです。
「オンマイクよりオフマイクの時にたくさんしゃべってる」とも言っていた井上さん。
結婚式の途中でトゥイが乱入してくるところでは、
トゥイとキムがやりあってるとき、
クリスはジジなど店の女の子たちと
「あれ誰?」「キムの親戚?」とか言って
「あいさつしてこようか」みたいな演技をしているのだそうです。
オフマイクの演技としては、トゥイも。
収容所のキムをみつけ、
言うことを聞かないキムに、いったんは怒りにまかせ銃殺の命令を出すトゥイ。
結局そこまではできなくて、兵士たちを外に出してしまうのですが、
その外での会話。
小屋の中ではキムとエンジニアが歌ってる間、
奥のトゥイは二人の副人民委員から
「なぜ殺さないんですか?」と詰め寄られているとのこと。
それも、毎回誰と組むかによって、いろいろ変わるそうです。
「コンビネーションが変わることによって、
毎回新鮮、毎回発見がある」というのが、全員の共通した意見。
別所さんも、
「私たちは1回1回を大切にしています。生の舞台は、その時しかない。
この日の僕たちと、この日のお客さんは1回限り。
毎回心をこめて、その日その日ベストをめざして力の限り演じています」
と言っていました。
トークイベントの最後に、
新妻さんから歌のプレゼントが。
キムがタムと別れる最後の場面で歌う歌は、
初演から16年間で二転三転しているそうです。
新妻さんは、
初演のロンドン、オリジナルキャスト版のCDにある
その時の歌「Sacred Bird」を聞くたびに泣いてしまうといいます。
自分の受けた感動を私たちに届けたいという気持ちから訳詞を書き、
今回披露してくれました。
(そして、また涙ぐんでいました)
他にも、面白い話満載。
休憩時間に箱に入れた観客からの質問を中心にお話が進みます。
「ミス・サイゴン」を愛する人たちの質問は、
非常に核心をついていたり、細部にこだわっていたりで盛り上がりました。
そのうち公式サイトにアップされるかもしれませんから、
そちらもチェックしてみてくださいね。
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「ミス・サイゴン」トークイベント
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