今期初の「モーツァルト!」です。
3年前と同じ音楽、同じキャストで見ながら、
こんなにも受け止める感情が違うなんで、思いもしなかった……。
井上バージョンは、才能溢れる男としてのモーツァルトだ、と
そんなふうに思っていた私。
自分の才能を確信しながらも「音楽」をつかみかねて葛藤するのは、
どちらかといえば中川バージョンのほうだというふうに。
ところが。
今期の井上モーツァルトは、
前よりずっと「アマデ」との距離がある。
自分のなかの「天才」を御しきれずに苦しみぬくモーツァルトなのだ。
最後、「レクイエム」をアマデ抜きで作曲しようとするところなど、
以前はそういう演出であるとまったく気付かなかった。
苦しんで、苦しんで、苦しんで。
そして最期に「アマデ」と同化していくことの意味を深く深く思った。
市村パパとの親子の感情も前より細やかになったと思う。
ありのままの自分を評価してほしいという気持ちが
単なる押し付けや、愛情の要求だけだなく、
父親に対する溢れんばかりの愛情でもあると感じられた。
以前私は中川バージョンを見て
彼の「影」は井上くんじゃないか、というように書いたけれど、
中川くんという長年の片翼を失って、
井上くんこそ中川くんという「影」を意識することになったのではないだろうか。
それは決して悪いことではない。
「モーツァルト!」は2人で1つのものを創り上げた名作といってよい。
今期演じない中川くんのクリエーションも含め、
井上くんはきちんと身体に入れて演じている、ということなのかもしれない。
そして、
新しく参入した山崎モーツァルトも序盤から高い評価を受けているようだ。
こちらも楽しみ!
それにしても……。
やっぱり山口さんと涼風さんは別格だな~。
「モーツァルト!」はとにかく楽曲が優れているので、
それを朗々と歌う力を持っているお2人は、
ただ1曲ですべてをもっていかれます。
「星から降る金」は、ほんっとに名曲!
あと、
hiroのコンスタンツェもかなりよくなったと思います。
やっぱりSpeed節になってしまうところはあるのだけれど、
あと、低弱音は音程が厳しいものも見られますが、
コンスタンツェの悲哀はしっかり出ていたと思います。
まだ公演序盤で、アンサンブルメンバーが歌うソロ部分が安定していないのが
ちょっと気になりました。
アロイジァ役の秋園美穂さんは素晴らしい喉を披露してます。
しっかしあれからもう3年も経ってるのね~。
去年くらいだったようにさえ思っていました。
ものすごいインパクトのある作品です。
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「モーツァルト!」(井上/涼風)@帝国劇場
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