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「モーツァルト!」(井上/香寿)千秋楽@帝国劇場(その2)

昨日の続きです。
男爵夫人は涼風さんを3回、香寿さんも千秋楽で2回目です。
やはりこの歌声には癒やされます。
涼風さんの歌を聞いていると、最強だ!と思うのだけれど、
この1曲だけを取り出せば、やはり香寿さんが勝ちかな。
もちろん勝ち負けではないけどね。
香寿さん男爵を好む人が多いの、よくわかります。
「旅に出るのよ」がどんなに温かいことか。
聖母に抱かれる安心感が漂ってきます。
さて。
千秋楽は、メインキャストがひと言ずつごあいさつ。
島袋寛子さん(hiro)が、「前は足をひっぱってしまった。
どうしてももう1回やりたかった。お声をかけてくださってうれしかった。」と
涙をうるませながら話していました。
島袋さんがコンスを好演したことで、
私は今回、このプロダクションの意味をより深く感じることができたと思います。
ありがとう!
山口さんも楽しいお話をしてくださいましたが、
ツボは市村さんですね。
「本来であれば、私がモーツァルトをやるべきところなのですが……」ですから!
いつも「ボクは主役を狙っているんだよ!」を楽しくアピールする彼が好きです。
イヤミにもごーまんにも聞こえないのが、彼の人徳ですね。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
今年の「モーツァルト!」は、私にとって格別の作品となりました。
最初に見た2年前、私はこの話を「天才の苦悩」を中心に理解していました。
でも今年はちょっと違いました。
今、戯曲を書いていて、それはもう7年も前から取り組んできたものなのですが、
それは「親子」の問題と「聖性と俗性」の問題がテーマなのです。
この戯曲がようやく最終形を見せ初めたとき、
この「モーツァルト!」には共通したテーマ性がある、と強く感じました。
そして二つは共鳴するように、
私は筆をすすめながら
脳内では常に「モーツァルト!」の楽曲が聞こえ、
あるときは山口さんのコロレド神父がのり移り、
あるときは市村さんのレオポルドが背中に現れ、
あるときは民衆達が酒場での大騒ぎが遠くから聞こえてきたのです。
この数日は
登場人物が血肉を持った演者として誕生し、
次から次へといろいろなアイデアが思い浮かんでくる、という具合でした。
ラストスパートを加速するために、
演劇の神様が5回も見せてくださったとしか思えません。
本当に感謝します。
「モーツァルト!」の楽譜がほしい、と思って探したら、
もう絶版となっていて、amazonで14000円もしていてビックリ!
さすがにこれは買えません。(定価の7倍)
でも、ほとんど耳コピできるくらい、
私は今「モーツァルト!」と同化しています。
小池修一郎さんの訳詞も非常に秀逸だな、と改めて感じました。
私はウィーン版を観たり聞いたりしたことがないので、
私にとって原体験は小池バージョン。
その訳詞の一つひとつに敬意を表します。
大阪・金沢公演には行きませんが、
また再演されるときは、必ず足を運ぶつもりです。
前楽の山崎さんのコメントではありませんが、
この「モーツァルト!」という作品の、ヴォルフガングという役を
魂をこめてつくり出した井上くん、中川くんに、感謝。
ほかのすべてのキャスト・スタッフの方々に感謝します。

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