「Shock」観劇も3年目に入り、
「毎年恒例」になりつつある今日この頃(笑)。
誘ってくれる光ちゃんファンの友人Kに感謝。
彼女によると、今年の目玉はトラヴィスによる演出と、
神田沙也加の参加である。
私が感心したのは、堂本光一の歌がうまくなっていること。
相変わらず、ダンスシーンでは口パク(全員)なので、
それはそれでもうとやかく言うつもりはないが
(すでに私は「ミュージカルであってミュージカルとは違う」Shockの世界観に
呑み込まれている感がある)
神田沙也加とのデュエット曲は、堂々と彼のほうがリードをとって成功している。
神田の、か細いがシュアな声でのハーモニーが陰影をつけて美しい。
次に感心したのが、やはり演出。
どの場面もその役割、動き、歌がそれほど変わっていないはずなのに、
とても洗練され、印象が強くなった。
アンサンブルの動きが計算しつくされていて舞台装置や衣裳との溶け合い方が絶妙。
特に印象的なのは二幕目の、
「帰ってきた」コウイチが正面を向き(オーナーの劇場の片隅で)、
「待っている」ウチが背を向けながら(インペリアルシアターで)ダンスをする場面。
それぞれ4人くらいで踊るのだけれど、振付がシンクロしているのだ。
ダンスを見せているだけなのに、
ウチがコウイチの「気持ち」を必死でつないでいることがわかるしくみになっている。
また、
2幕目ではシェイクスピアの引用から「ロミオとジュリエット」をはずし、
「Shock」の本筋と深く関わる「ハムレット」「リチャード三世」に絞ったことで
求心力が増した。
相変わらず、シェイクスピアの場面は秀逸。
光ちゃんの父王(「ハムレット」)の迫力はいつもながら、
内くんのリチャード(「リチャード三世」)の恨み節も負けてない。
その迫力を押し戻す、神田沙也加のアンがまたすごい。
シェイクスピアはワークショップなどに参加して勉強してきただけのことはある。
彼女には、いつかアンをまるごとやってもらいたいな。
全体的に、ストーリーも分かりやすくなっている。
植草が冒頭で述べる「あなたにとっての『ショウ マスト ゴウ オン』は?」
という問いかけが、どんどんジャブのように効いてくる。極めて暗示的に。
登場人物それぞれが自分の中に「続けなければ」を持っていて
明日が見えないからこそ思う「続けなければ」の焦りが胸に迫るようになった。
「ウチ」が叫ぶ
「このカンパニーを引っ掻き回しているのは、コウイチなんだ!」が
ただのやっかみや未熟さゆえの理解不足ではなく、
たしかにコウイチの焦りも見えて、
この事故には、コウイチのかたくなさも関係している、と思わせてくれる。
数年前は「コウイチ、死んだの? 生きてるの?」を引きずりながら観ていたが、
今回はそれがちゃんと観客にわかるように整理されていて、
ナゾはなくなったが「わかっていても言えない」リカの気持ちがせつなくて、
そこがストーリーに緊張感を与えている。
で、その
内くんであります。
…やっぱり、内くんが、好きかも。
気づくと内くんを追っていた。
目立ちます。
いい意味でも、悪い意味でも。
テンポが違うの。そろってないの。ほかのアンサンブルたちと。
ほかのメンバーはもう「チームShock」というか、
光ちゃんの意志がのりうつっているかのごとく、一糸乱れぬ完成度。
だから「一つ」にしか見えない。
その中で、内くんだけが、ちょっと違う。
でも、その「違う」が、
一幕ではウチの「自分がトップになりたい」気持ちの現れにも見え、
二幕ではいろいろあって「今はみんなと心を合わせて踊りたい」をしっかりと見せ、
私はかえっていい効果を与えていると思った。
ただ、彼の「スキップ」がすごく気になった。
あの動きは、「ライブ」でならOKだけど、「舞台」ではちょっとNG。
あの動きをしているときは「ウチ」じゃなくて「内博貴」なんじゃないかしら。
素になっているように見える一瞬なの。
でも、日本舞踊を習っているのか、和風の所作は素晴らしかった。
重心をぶらさずに素早く滑らかに移動できる腰の粘り強さとか、
指先まで行き届いた繊細な振りとか、
このまま続けてほしいな~、と思いました。
「Shock」はたしか、ニューヨーク公演が決まっていたんじゃないかと思い、
前出の光ちゃんファンに確かめたところ、
2012年にやるという話があったが、立ち消えとか。
「そういう話は前々からあるが、なかなか実現しない」らしい。
仕掛けがいろいろあるので、
技術的な問題がからんでいるのかもしれない。
(向こうの劇場では、現場の人を使わなければならないので、大変。
歌舞伎の海外公演のときも、いつもそれでひと悶着ある)
でも、いつかやってもらいたいな。
前述した「口パク」についての是非はあろうが、
イリュージョンあり、ブロードウェイっぽさあり、シェイクスピアあり、
ジャパネスクな踊りあり、Naruto的衣裳あり、迫力の殺陣あり、和太鼓あり、
ねぷたの美術あり、フライングありで飽きることがない。
この「枠」だけをブロードウェイに売ることだってできるんじゃないか?
でも、殺陣もタップもダンスも和太鼓もフライングも歌も、っていう人は、
やっぱり光ちゃんしかいないかも、
それじゃ、それぞれの場面で優れた人に割り振ってショウにすればいいか?
いやいや、それじゃこのすべて丸ごと飲み込んではじけるストーリーが台無し、とか、
ほんとにいろいろ考えながら観てしまった、3回目の「Shock」でした。
たんのう。
ちなみに、2階最前列中央で見た去年の感想はこちら。
「ヤバイ!内くんのファンになりそう」と思ったときの感想はこちら。
光ちゃんの「Shock」に賭ける情熱を描いた番組の感想はこちら。
友人から「ぜひ感想を聞かせて!」と届けられて見たDVDの感想はこちら。
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「Endless Shock」@帝国劇場
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