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ロックミュージカル「ハムレット」@シアタークリエ

「ロックミュージカル」と敢えてつけさせていただきました。
そして、
もう一つ言わせていただければ、
ロックできてなかったロックミュージカルだったな、と。
そのまま「レ・ミゼラブル」でも「ミス・サイゴン」でも「エリザベート」でもできそうな
超豪華メンバーでありながら、
そのよさを活かしきれていたかといえば、そうでなかったと答えるしかない。
自分のテリトリーで闘える歌はよくても、
シャウトの声が扁平で、聞いていて疲れた。
演出の栗山さん「もっと怒鳴れ」って指示してたらしいけど、
みんな、カンチガイしてるよ。
一流のロック・ミュージシャンは、音域広いし、奥行きのある声出すし、
どんなに怒鳴っても声が汚くならないんだよ。
同じロックミュージカルなら、「ロッキーホラーショー」の勝ちだ。
古田も岡本もROLLYも藤木も、ロック魂全開でした
笹本玲奈にはちょっと厳しい部分もあったけど、がんばっていた。
でも、
出演者のせいだけじゃないんです。
ミキシングにも問題あり。
帝国劇場と同じくらい音飛ばしてどうするの?
生声でだってやっていける人たちなんだから。
マイクの音量で耳つんざかれて、閉口しました。
音楽が、今ひとつ。というか、これ、
「ジーザスクライスト・スーパースター」のパクリ?
メロディやリズムだけじゃない。
レアティーズが「夢を見た…」とつぶやいた日には、もう、あなた……。
まさかと思ったけど、内容までおんなじだったんですよ、はい。
小田島さんの訳詞というのも、どうなんだろうか。
彼に、ロックさせてよかったんだろうか。
ホレイショーが「そういうもんですよ」って何度も歌うんだけど。
これがとっても大切な言葉だってのに、「そういうもんですよ」って……。
頭の裏側で「♪どうでもいいですよ♪」が鳴り響いてしまって困った。
なーんか、途中で入る歌には「ライオン・キング」っぽいのもあり、
ほんとに辛口でも申し訳ないけれど、手垢のついたような場面が多かった。
もちろん
涼風真世さんのガートルード、デコルテの背中の美しさにはのけぞるし、
昆夏美さんのオフィーリアの狂いようは切ない。
伊礼彼方くんのレアティーズもかっこいい。
だけど、ハムレットにまったく説得力がなかった。
どうした井上!と、
敢えて苦言を呈したい。
あれでスタンディングされて、よかったと思ってる?
私の隣のお嬢さんも、斜め後ろのお嬢さんも、クライマックスで号泣してた。
だから、
私に感受性がないだけなのかもしれないけれど。
私はまったく感情移入ができなかった。
特にあやまって殺してしまったボローニアスに対し、
足で蹴飛ばすなどの仕打ちは、びっくりしてしまった。
父親を殺した男への復讐に悩む男、ではなく、
人の命なんてなんとも思ってないような、ただのチンピラかいって感じで、
そこがちょっと……。
でも、大した話じゃなくたって、大した話に思わせるのが大歌手ってものです。
「この話、彼がハムレットだからよかった」と言わせられる、
そんなハムレットではなかった。と、私は思いました。
このプロダクションでもっとも目を引いたのは、
オフィーリアの姉ヘレナ役の平田愛咲。
この役は、原作にはない。
オフィーリアとの二重唱が多いが、悪いが昆さんよりずっと歌心がある。
彼女のオフィーリアが見てみたかったな。
昆さんのような透明さは出なかったかもしれないだろうが、
もっと複雑で、ブリリアンカットほど多面体なオフィーリアが見られると思う。
おそるべし、である。
チャバ@ヴァイオリン弾き、
エポニーヌ@レミゼ、ときて、
今度は「王様と私」でチプタムをやるという。楽しみ。
ほんとに、
号泣してた人、いたのよ。
だから、私のアンテナがおかしかったのかもしれません。
だけどさ……。
井上くんはとても好きなミュージカル俳優だから、
甘やかされてつぶれないでほしいです。
もっと、世界を包み込むような、
人の心を揺さぶり、たちまちに幸せにする声が出る人だと思う。

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