小澤征爾さんがタクトを振るはずだったが
体調を考慮して降板。
しかし小澤じゃなくてもハイレベルな公演でした!!!!!
若い人たちの演奏とはいえ、その確かな音がうねるようにして迫ってくる。
ドラマチックなオペラをさらにドラマチックに!
クライマックスなど、胸がつぶれるかってくらいの圧倒的な音量。
そうかと思えば、二部のラストの合唱フェイドアウトのせつなさよ。
プリマも素晴らしかった。
そして何より、
やっぱプッチーニってただもんじゃない。
「蝶々夫人」っていう楽曲にまいった。
外人がカツラ、とか、着物がヘン、とかよくいうけど、そんなの関係ねぇ!
蝶々夫人もスズキもゴローも外人だったけど、全然違和感なかったぞ。
みんなうまかった~。
プッチーニは日本の文化や社会を理解して、
蝶々夫人の気質と悲しみと誇りを理解して、
ただただ、夫と子供への純愛をひとつの物語に凝縮させて永遠のダイヤモンドにしたんだ。
すごい~~~~~!
それをちゃんと理解してこの公演を演出した、小澤征爾。
その小澤の意図をしっかり受け止めて演奏した小澤塾の面々。
そして、ソリストたちの才能。
(しかし、君が代、さくら、宮さん宮さん、などがモチーフに使われているんですね~)
すべてが1つになった、いい夜でした。
小澤さんも1階でちゃんと見ていて、
最後はオケピの前まで来て、みんなと勢いよくハイタッチしてました。
お元気そうでなにより。
今回は、オペラ好きの知り合いが5階の席に招待してくれました。
大好きな5階の席だったので、うれしかった!
だって、すべてが箱庭のように手の中に。
そして東京文化会館は、音サイコー!
その音が下からぐーーーーんと湧き上がってくるのを受け止められるのが、
5階なんだよね。
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余談(?)ですが、
「蝶々夫人」見ながら、「ミス・サイゴン」が頭の中にあった。
単に、同じようなテーマっていうだけじゃなくて、
かなり忠実な線に沿って作られている。
(ピンカートン一人悪者なので、そのあたりはクリスはいい男になっているが)
音楽の色合いがとても似ているんだ。それはビックリした。
人物造形もしかり。
総領事の常識人で八方美人ってところはまんまジョーだし~。
ゴローがエンジニアで、
エンジニアの膨らませ方は、なかなかだったな。
エレンの悲しみについて、これもミス・サイゴンの勝ちだね。
でもそれは「勝ち」っていうより、時代の流れなのかもしれない。
プッチーニの世界において、
人の妻は夫に絶対的に服従するものであり、
従わず、「自分」を貫く女は、「妻」でなく「愛妾」にカテゴライズされてたはず。
ヨーロッパでは、「女性」は「娘」「妻」「未亡人」「愛妾」「娼婦」と4つに分けられる。
ダンナもって自立できたのは、「未亡人」と「愛妾」だけ。
日本ではその「妻」と「愛妾」の差があいまいだった。
少なくとも、
「妻」が財布握って「お上さん」で、夫は「宿六」なんていう、
ここまで妻が権限もってて強いってことが、かなりカルチャーショックだったはず。
なんて、そんなこんなを考えながらの3時間。
オペラ好きの知人も、いたくご満悦で帰途についた模様。
そんな場面に立ち会わせてくれて、どうもありがとうございました。
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小澤音楽塾によるオペラ「蝶々夫人」@東京文化会館
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