「歌」で引きつけられたのが青山郁代なら、
「演技」で圧倒されたのが関谷春子。
いしばしまさこ(漢字不明)作・演出の「Some Girls」という2人芝居で
1人の男性をめぐる3人の全くタイプの違う女性を演じ分けました。
久しぶりに会った元カレから
「ストーカーの気持ちが分かる」と未練たらたらのラブコールをもらい、
「好きな人に迷惑かけるっておかしい。
ココロで愛しているけれど、アタマでは憎んでる証拠」
などと論理的にまくしたて、元カレをタジタジにしてしまう
メガネのインテリ女性。
その元カレと男女の仲ではないけれど、
恋バナなどを気軽に話せるちょっとおバカな女の子。
DV男にすがって生きているんだけど「アハハハハハ!」とテンション高く、
「もつ煮だったら毎日食べても絶対飽きない!」と確信している。
2人で話してたら終電を逃してしまった男が
渋谷から高円寺まで歩いて帰る深夜の路地で、
ジャージ着て大の字になってひっくり返っている大阪弁のヤンキー女。
言葉は攻撃的だけど、
1年前の今日、七夕の日に出会った「ピロチ」と言ったモーテルの前で、
ずーっと会ってない「ピロチ」に会えないかと思ってそこにいる。
関谷がたたみかける台詞を、新井直樹がたじたじとなりながらうまく受けて、
ユーモアと物悲しくも温かい優しさとがおりなす
素敵な小品となっている。
脚本が素晴らしい。
台詞にもセンスがあるし、
元カレにちょっとだけナレーションをさせ、
なぞかけのような小見出し(場面タイトル)を書いたスケッチブックを
譜面台に置かせる演出も効果的だ。
ただ、
2人の会話の面白さに比べ、動きがほとんどなかったのが残念。
特に前半の二つは座ったままほとんど動かない。
ステージの空間をもっと大きく使ったほうがよかっただろう。
通りすがりの男がヤンキー女をまたいで
右に行ったり左に行ったりしただけであっても、
それでも最後のシーンには活力が生まれた。
ともすれば単調になる危険性をはらんでいたこの作品を
充実させてくれたのが、
関谷の演技力とエネルギーなのである。
関谷は1期生。
昨年(2009年)5~6月、座・高円寺で「ユーリン・タウン」でオーディションの結果主役を射止めた実力派。
初舞台は「青猫物語」で、「パイレイト・クイーン」にもアンサンブルで出ていた。
これからの活躍に注目したい。
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関谷春子@TMA「海の日イベント」
- ミュージカル・オペラ
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