篠井英介、毬谷友子、蘭妖子、マメ山田、手塚とおる。
この名前並べられたら、
何か起こりそうな予感、するじゃないですか!
タニノクロウさんという人のことを、私はぜんぜん知らなかったのですが、
「チェーホフ?!」
……んもう、すごかった!
チェーホフかどうかは知らない。
「チェーホフ」より「?!」な舞台。
ひと言で言って、「天上桟敷の人々」を最初に見たときの
ファーストシーンの衝撃。
映画を観ようと思って映画館に行ったら、
そこには映画じゃなくて、舞台があった、みたいに、
今回は
芝居を見に劇場に行ったら、見世物小屋っていうか、からくり小屋っていうか、
そういう空間に引き込まれた、みたいな。
前半はほぼまったくセリフがない。
歌も知らない国の言葉で、日本語の歌はちょっとだけ。
ほとんどマイムだけの進行。
額縁の中の額縁の、そのまた中の絵の中のお話、に吸い込まれていって、
そこに広がる空の透明さ、
月の光の明るさ、
忍び寄る影の恐ろしさ、
など、など、など、など。
とにかく前半はもう、「これは何?」を求めて
ただくいいるように見つめるだけ。
観客もまた、荒野におきざりにされたような戸惑いの中で、
必死に想像力を全開にするのみ。
前半の吸引力に比べると、
後半は少し印象がばらけてしまうけれど、
篠井英介の存在感がハンパなく大きい。
毬谷さんの歌はさすが。
一緒に見に行った友人は
「役者の力を使いきってなくてもったいない」と言っていた。
たしかにそういう部分はあったかも。
でも、
これだけ実力のある俳優達だからこそ、
彼らが動いたり止まったりするだけで、
この額縁の中は芸術として成立する。
役者を選ぶ作品だな、と思った。
心臓と脳と本とりんごと。
象徴的に出てくる小道具の意味を問いながら、
フシギ世界は終わる。
とにかく、美しさと恐ろしさを体験する舞台です。
小さな劇場で生オケもついて、ぜいたく。
必見です。
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