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「ベニスの商人」


ヴェニスの商人
アル・パチーノが絶対やりたい!といってできた映画。
彼が主演なら、とベニスの世界遺産なみの文化財はみんな使えたといいます。
昔から、「ベニスの商人」といえば、
ごうつくばりの金貸しシャイロックが、 借金のカタに人の肉までとろうっていう
血も涙もないユダヤ人に大岡裁きが下る、みたいな話だとされていますが、
最初シャイロックは「金利なし」で金を貸そうとしていたっていうこと、ご存知でした?
キリスト教のおしえに従うと、金貸しという職業にはつけないから、
キリスト教徒でないユダヤ人がこの職業になった(他の職業から締め出されていたこともある)
というところまでは知っていましたが、
そのユダヤ人に対しても「金利はとるな!」がまかり通っていたとは、知りませんでした。
とにかくユダヤ人差別は根深い。
土地を所有することもできない。狭い地域に押し込めてそこで暮させる。
しかし、彼らから金は借りる(金利なし)など、甘い汁は吸う。
必要ならば、自分たちの町に来て商売してもいい。
しかし出すぎたユダヤ人を許しはしない。
多くの差別がそうであるように、「人間」として見ていないんです。
そんな蔑みに耐えて暮らしていたのに、
娘は新しい未来を求めてキリスト教徒と駆け落ちし、改宗してしまう。
裁判でのシャイロックの怒りは、孤独の中で増幅されたものとみえます。
「求める以上の正義をやろう」と下された判決によって、
シャイロックは財産だけでなく、ユダヤ教も剥奪されます。
しかし、キリスト教に改宗させられても、彼はユダヤ人街にしか住めません。
彼の目の前でシナゴーグ(ユダヤ教会)の扉が閉ざされるラストは、
すべてのコミュニティーから締め出されたシャイロックの心を表して、ずしんと響きます。

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