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「ムサシ!」映画になる

ホリプロの劇場公演「ムサシ!」
「ANJIN」に続いて映画になります。
NY・ロンドン公演を果たし凱旋した藤原/勝地バージョンで、
12月25日から東京・東銀座の東劇などで公開します。
試写会に行ってきましたが、3時間という長丁場を感じさせない
いい仕上がりになっていました。
(途中休憩10分あり)
私は初演の藤原/小栗バージョンは劇場で見ているのですが、
藤原/勝地バージョンは劇場では未見、
今日が初めてでした。
いろいろな方のブログで読んでいたとおり、
「5人6脚」の場面は初演よりかなり整理されてすっきり、
そのおかげか前半のタンゴ、そして仇討ちのあたりまでは非常にテンポがいいです。
隣りのお兄さん、初めてなのか、ものすごーく笑ってました。
前半の立役者は佐々木小次郎役の勝地涼。
彼が禅寺に紛れ込んできたところから一気に緊張が走るようになるし、
体の切れ、セリフの明瞭さ、非常にシャープな小次郎で、引っ張っていきます。
受ける藤原ムサシは初演時より落ち着きが増し、
かなり世間の「宮本武蔵」像に近くなった気がします。
吉田鋼太郎のすっとぼけたギャグはいよいよ絶妙。
後半は「一気」というより1人ひとりが何を思いいかに生きているかが
丁寧に繰り広げられる感じです。
これは舞台とちがって「アップ」があるからなのかな。
舞台とはまた違った感触を味わいました。
ただ敢えて言いますが、後半に限っていえば、私は小栗小次郎のほうが好き。
「第18代…」の下り、母恋の表情などは、
小栗旬が「ふぬけ」加減でそれまでとまったく違う小次郎の顔をつくり、
孤独に生きてきたからこそのツッパリでありムサシに対する憎しみだったのか、と
ものすごく切ない気持ちになったことを思い比べていました。
荒くれムサシとどこか気品のある小次郎、という対照、
「実はやんごとなき」みたいな驚きも、「なるほど」「それで」みたいに
一瞬納得してしまうようなオーラは、小栗ならではだったのかな、と思います。
勝地小次郎は、どこまでも上昇志向の強い男、という感じ。
だからこのバージョンでは、
両者対決の場面の持つ殺気が並大抵ではありません。
そのあたりをギンギンに楽しんでもらいたい映画です。
(追記)
初演のときは単に「音楽がいい」としか思わなかったのですが、
その配し方、使い方に、ものすごく意味があると気付きました。
「タンゴ」も唐突に始まった感があったけれど、よくよく聞いてみると、
その前から同じ音楽を使っているのね。
それを「タンゴバージョン」にしただけなんだ、と気がついた。
あと、
これは海外公演を意識してそうしたのか、
それとも最初から狙ってつくったのかわからないのだけれど
禅の説法のあるところで、キリスト教の宗教音楽的な曲想を、
西洋の楽器で奏でている。
西洋の楽器と東洋の楽器のコラボは最初からではあるけれど、
外国人に見せたときたとえセリフの意味がストレートに伝わってこなかったとしても、
その音楽によって「ありがたいお話」を宗教家がしている、ということが
わかるようになっているのではないかしら。
家にある小栗バージョンの録画を見直してみようかな~、と思いました。

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