昨年末に「寒花」を見て以来、
新宿三丁目のSPACE雑遊に行く回数が増えた。
地下室の、小さな小さな空間で繰り広げられる濃密な芝居は、
「目撃者」としての観客の心を大きく揺さぶる。
今回は、「寒花」を演出した岩船祐太さんの構成・演出で
演劇集団砂地によるシェイクスピア作品「リチャード2」(「2」は本来ローマ数字)を見た。
リチャード二世の世界といえば、
ずーっとずーっと前の話なのに、
そこで繰り広げられているのは、小泉政権から民主党への政権交代劇、
そして民主党内での権力闘争そのもの。
ああ、政治家っていうやつは、
権力を握るということは、
そのときマスコミは、
そして大衆は……と、本当に考えさせられます。
その上、
「今を生きる二人の若い女性」が別次元の話としてはめ込まれ、
同時進行で彼女たちの物語もすすむので、
そのへんがさらにリアリティを増幅させた。
休憩なしでシェイクスピアを浴びるって、かなりエネルギーを必要としますが、
ぜひご覧になってもらいたい舞台です。
この芝居の中で
「演劇というのは、今を映す鏡なんです」という言葉が出てきます。
一方で、
「演劇というのは、今という時代性がなければならない」という言葉もあります。
多くの名作が古典として長く長く演じられているのはなぜか。
その中に「今」を映す鏡が仕込まれているから。
何百年昔の物語であったとしても
その「鏡」のありかを知った人がつくり、
その「鏡」に映された人物を俳優が「今」に通じる人物として演じたときに、
その物語は魂を吹き込まれ、その時代にも成立する。
その読み方、解釈の仕方は、
人によって、時代によって変化する。
だから、面白い。だから芝居は、生き続ける。
そのことを、強く強く意識させられた作品でした。
新宿三丁目の「SPACE雑遊」で1/26まで。
当日券もあるようです。
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