扉座の横内謙介さんの作・演出と知り、
また昨年10月の公演も好評だったとも聞き、
急遽チケットをとった「乱童」。
あらすじもわからず飛び込んだその世界は、
…ひとことでいうと、
アニメ「GS(ゴースト・スイーバー)美神」みたいな感じ?
冒頭でそう思ったのは、あながち見当違いじゃなかったみたいで、
サブタイトルに「シャーマンビジネスマン」とあるし、
あとからパンフレットを見てわかったんですが、
この舞台、キャストの半数が声優さんなんです。
森田成一、三木眞一郎、高橋広樹、庄司宇芽香、
ほかにテニプリにも出てる藤原祐規、
初期AKB48平嶋夏海など。
去年の10月、たった2日の公演のはずが、
彼らの本気度、意気込み、がんばり、に周りも刺激され、
再演となりました。
ほかには伴美奈子、岩本達郎、鈴木里沙、上原健太ら扉座でおなじみの実力者たちや、
すらっとした容姿と大きな瞳が印象的で小林紀子にバレエを師事、
その後劇団四季で活躍し現在に至る小牧祥子など。
あらすじ・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
とあるデパートで、古いマネキンが涙を流すという噂が広まり、
そのマネキンの処分を賀茂乱童(森田)が引き受けるところから話は始まる。
乱童は、役小角(えんのおづの)の末裔で、霊能者。
地下室に置かれたマネキン(小牧)の声が聞こえる。
さまざまな売り場に置かれそこで見たデパートの不正を訴えるマネキン。
やがて、マネキンは乱童の力で動き始める。
しかし乱童は、
もっと大きく、恐ろしく、異様な霊気が、
その地下室に充満しているのを感じ取っていた。
・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
乱童の友人で、これまた道鏡の末裔のスピリチュアルなお坊さん・弓削仁鏡に高橋広樹、
15年前、「異様な霊気」を中途半端に封印してしまった若い霊能者・ワタルに藤原祐規、
そのワタルと出会ってマネーゲームから足を洗い、除霊ビジネスを始めた男・
皇(すめろぎ)春樹に三木眞一郎。
デパートに長年勤め、乱童にマネキン処分を依頼する女性課長・貴子に伴美奈子。
彼女こそが、実はキーパーソンで、15年前の「事件」を解くカギを知っている。
乱童は、力で押さえつけ封印するのではなく、
霊たちの「思い」を聞きとどけることで霊は成仏する、と
全身全霊を傾け精魂こめて「聞きとどけ」を行う。
特別な才能を持っている人間の孤独、
不正を黙ってみていられない人の勇気、
思いはあっても行動できない人の辛さ、
無視されることからくる絶望……。
コミカルな作りのなかに、
それぞれの登場人物の抱える葛藤がしっかり描きこまれているのが、
さすが横内さん、という感じだ。
圧倒的な存在感は、高橋広樹。
すでに舞台も経験済みということもあり、勘どころを知っている。
役柄的には、主役の向こうを張るのは三木眞一郎扮する皇春樹のはずだけど、
ちょっと影が薄くなってしまった感あり。
コミカルな3枚目的な場面も、
お坊さんとしてのやさしい諭し方も、
ナルな表情も、
高橋仁鏡はどれをとっても魅力的だった。
ただ、
もっとも感動的だったのは、
「霊」になってしまっていた美雪(平嶋)が、
貴子やマネキン(彼女も大活躍)と再会し、3人の心がとけあうクライマックス。
私だけじゃない、両隣りの若い女性も泣いていた。
心に響く決着のつけ方であり、
人間は何によってもっとも傷つくのかを如実に表して、
本当に深い話になっている。
そうしたシリアスな場面を内包しつつも、
この舞台は楽しい。
その楽しさは、カーテンコール以降も続く!
さまざまなアトラクションの後、
最後はお正月ということもあって、
乱童の生家である「見えない神社」へ観客全員でお参り!
願い事をして一本締めという、
なかなかオシャレな幕引きでした。
お正月ということもあって、後ろのほうは空席だったのが
なんとも惜しかったです。
その上、昨日が千秋楽。
でも昨年の
銀河劇場でやったときのDVDが1月末~2月上旬に5000円で発売される
ということなので、
気になる方は、ぜひお問い合わせを。
申込み締め切りは1/20(水)18:00
有限会社レイネット。
電話03-3481-0428 FAX03-3481-0468
メール raynet@raynet-jp.com
- 舞台
- 27 view
この記事へのコメントはありません。