おととい、NHKの「芸術劇場」で
「山の巨人たち」をやっていました。
それに先立ち、
スタジオで、主演の平幹二郎さんのお話が聞けました。
去年「リア王」をやった時の感想が、胸にしみました。
自分はそれまで「熱い」演技が多かったが、
今度は余分なものはそぎ落としていこうと思った。
自分にしみついたものを変えるのは大変だった。
初日の舞台に上がったとき、
板の上で、自分は「独りだ」と感じた。
しかし、それはさみしい孤独ではなく、「自由」な感覚。
その「自由」のおかげで、
千秋楽まで舞台がうまく回った、とのこと。
そして
「去年は、私にとって『演劇ゼロ年』です」
ゼロ年ですよ。芸歴54年の方が。
すごいです。
探求精神のかたまりです。
こんな人でも、「山の巨人たち」はつかみどころのない話で、
台本を読んでも、書いてあることがすぐには飲み込めなかったといいます。
「役者は、わからなければ演じられない」
という言葉も重かった。
なんとなく字面を声にするだけでは、演じたことにはならないのです。
役を、把握しなければ。
平さんは、その場面、その1つのセリフだけでも
できるだけ自分にわかる感触にひきつけて、
実感のこもったものにしようと努力した、といいます。
実際の映像を見てみると、
そんな苦しみなど少しも見えず、
舞台の上で堂々と、一人の人間として生きている。
大仰すぎない、けれどよく通る慈愛のこもった声で、
あるときはやさしく、あるときはユーモアもこめ、
あるときは激しく語っていました。
彼はシェイクスピアの全作品をやる、と宣言しているそうです。
初めて知りました。
この前、唐沢さんで見た「冬物語」も、演じていらっしゃるんですね。
見たかったなー。
これからも、平さんからは、目が離せません。
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