浅丘ルリ子さんがすごい!
若い、歌が上手い、腕の動きしなやか。
セリフの一つひとつが心にしみる。
やっぱり大スターっていうのは、違うと思った。
対する渡辺徹、風間トオルも好演。
最後の最後の風間さんには、
「え、あなたって……」的アッパーカット。
一瞬、登場人物と同テンションで驚きました。
映画にもなったし、ものすごく有名なお話なのだけれど、
現代の日本で見ると、理解しがたい部分が多い。
厳然たる階級社会であるイギリスというお国柄や、
第二次大戦直後という設定や、
そういうものをいろいろと知っていないと難しい。
「ドイツ女」に対するイギリス人の反感もさることながら、
「イギリスは世界一まっとうな法治国家」とうそぶく弁護士が
貴族であることの意味とか。
彼は二重にも三重にも軽く騙されてしまうわけなのだけれど、
それは、
人のものすごく表面的なところしか見ていないことの現われだし、
逆にいえば、表面的なことでいろいろとわかってしまう社会でもあるということ。
日本人がやると単に「言葉遣いが下品か上品か」くらいにしか違わないけど、
「純粋な方言」くらいはっきりしたもので、出自がわかってしまうのだと思う。
これまで見たものの印象とは違って
弁護士がピエロのように見えたのは、
この前「イギリス貴族は人の紹介がなければ知らない人と言葉を交わさない」
ということを聞いたからかもしれない。
非常にフェアな弁護士で、いい人なんだけれども、
その彼でさえ、実は大きな偏見を持っている、ということが
この戯曲ではあらわになっている気がする。
単なる謎解きとか、女の悲劇の話だけじゃないって思いました。
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