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「舞台は夢」劇場編

新国立劇場では、舞台の後に「シアタートーク」を催すことがあります。
文学座の研修生だったこともある元NHKの堀尾正明アナが司会。
今回は、堤さんがスケジュールの都合で出席できなかったものの、
段田さん、秋山さん、高田さん、そして演出の鵜山さんと
豪華メンバーのお話が聞けました。
今回のシアタートークでは、質問コーナーを多くとってくれたので、
私も質問してみました。
「作者編」でも書きましたが、
今回の「舞台は夢」で、新国立劇場の中劇場は、かなりカタチを変えています。
実は、この中劇場、横に長く、左右の客席は見切れが多くて、
観客からは不評、
スタッフも、音がまわりにくいとか、いろいろ使いにくい点が
以前から指摘されていました。
いわゆる「円形舞台」とか、
カタチは四角くても舞台を囲むように客席を配するのは、
新国立でも「小劇場」の専売特許。
どちらかというと、
オーソドックスな商業演劇を想定したこの中劇場に
こうした変形舞台をしつらえることが、
かなり冒険だったのではないかと私は思いました。
それでなくても、
鵜山さんといえば、
先ごろ1期3年でもう「交替」させられることが明るみに出て、
新国立劇場の運営について、演劇人が声明などを発表したり
騒動のもととなったお方。
「ここまで大きく変えるのは、この演目だけのことですか?」
鵜山さんいわく、
今期のテーマの一つに、「劇場の中の劇場」というものがあるのだとか。
舞台美術では定評のある島次郎さんとともに、
今回の冒険に手を染めたとのことです。
いわゆる額縁演劇の要「プロセニアム」の代わりの、
馬蹄形をした大きなアーチなども、象徴的です。
放蕩息子を思う父親というきっかけから始まる今回の「舞台は夢」が
最後に「演劇」とか「役者」を語り大団円となることを考えると、
その意味でも鵜山さんは、
積極的に「演劇とは」「舞台とは」「舞台人とは」を
さまざまな形でこの上演に入れ込んだんだな、と思いました。
「不自由と向きあうことで、こちらの温度も上がってきますし、
 新しい視点で見ることができます。
 本来なら、1回1回、そこまで見直しながら
 常に作ってていかなければならないことです」
今回、私はこの中劇場に足を踏み入れた途端、
今までは何も感じなかったお仕着せの劇場が、
ものすごく幻想的な空間、
それもとっても奥行きのある、大きな広がりに感じました。
それだけで、もう劇場は半分成功している。
「舞台は夢」。
日常を離れて、夢の世界に誘ってくれる仕掛けとしてのハコを
こんなに魅力的に作り変えた
鵜山さんと島さん、そして照明の勝柴次朗さんに
大きな拍手を贈りたいと思います。

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