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「60年代演劇再考」@大隈講堂

60年代演劇を熱く語るには、
60年代に生きていなければならない。
それも、
青春真っただ中として。
時代の微熱と、焦燥と、破壊力と、喧騒を感じながら。
しかして、私は子どもであった。
60年安保も、新宿西口のフォーク村も、
おぼろげながら、白黒テレビのブラウン管の中の一コマとしてのみ
脳裏に記憶されている。
だから、
私に60年代の演劇を語る資格はない。
ただただ、
今なおエネルギーを放ちながら精力的に語る
「団塊の世代」の面々の血走った目、ひた走るコトバを
この身に浴びてひれ伏すのみ。
早稲田大学で先週末に催された
「アングラの真話・反神話~国際研究集会 60年代演劇再考」
そんなオジサマ方の青春をのぞき見るような感覚があった。
白髪であったり、目の下が落ち窪んでいたり、お腹まわりがせり出ていたりしても、
彼らのアジテートには若者のトゲが確かに含まれていたし、
一つひとつ語られる思い出の瞬間は、
まるで氷河の中に閉じ込められていたステンドグラスのように
鮮やかな光を発して次々と甦る。
櫻社解散に、世の中が崩れ去ったほどのショックを受けた蜷川幸雄の呆然。
新宿ピットインで深夜に行われた唐十郎の「ジョン・シルバー」。
山下洋輔のピアノで紡ぐ、轟音とトレモロ。
店を出た時の、一面の雪景色。
夜の戸山が原に、麿赤児が乗ったリアカーが走り回る幻影。
新宿の駅前、役者の蜷川幸雄が疾走する図。
劇団青俳の稽古で、木村功が演出家に反駁する図。
真夜中にガバッと起きて、枕もとの台本に「サブテキスト」を書き込む
若き日のの蜷川。
菅孝行が熱くアジる「新劇への抵抗、歴史の切断」としての60年代演劇、
「まだまだ語れないことがたくさんある」という蜷川幸雄の重い口を
穏やかな口調ながら残酷に割らせてしまう、巧者・扇田昭彦との対談、
「日常生活だって虚実ないまぜ」・存在そのものがエンターテナーな唐十郎と
「唐さん」オタク一直線で訥弁の堀切直人による、すれちがいコント的対談。
午前10時から午後3時まで、
堪能いたしました。
所用があって
午後3時からの別役実氏のお話は聞けずに大隈講堂を後にする。
残念。
内容は違うとは思うけど、
彼の話は水曜に聞けたので、なんとなく網羅した「満足感」あり。
平田オリザ・宮沢章夫・岡田利規による対談など、
17日(金)・18日(土)のコンテンツも魅力的なものが揃っていました。
全日程クリアした人の感想が聞きたいなー。
大隈講堂そばの小野梓記念館では、
本日10/20(月)まで「アングラ演劇ポスター展」も開催しています。
横尾忠則の手になる赤テント(唐十郎主宰)のポスターなどが見らますよ。

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