今日、F・コッポラの「胡蝶の夢」という映画の試写に行きました。
…な、なぬ??
これって、「ファウスト」じゃないの??
老学者が若返る話です。
自分の夢をかなえるべく、もう一度人生を歩き出す話です。
フシギな力を得る話です。
自分の中の「もう一人の自分」は、まさにメフィストフェレスのようです。
彼は成功したい、認められたい、成し遂げたい、と思って邁進しますが、
そんな彼の野望のために何かが犠牲になります。
コッポラはこの映画を
「Youth without youth」という小説を原作にして作りました。
小説を書いたのは、ミルチャ・エリアーデというルーマニア出身の宗教学者。
ファウスト博士が
学問を極めれば極めるほど自分の知らない分野がとてつもなく大きいと落胆したように、
エリアーデ博士も、
サンスクリット語その他、膨大な知識を駆使して宗教にぶつかりながら、
その神秘の奥深さに常に立ちすくんだことでしょう。
そしてコッポラ監督がエリアーデの小説に勇気づけられたのも
自分の脚本「Metropolis」に何年も費やしながら、
どうしても完成できない苦しみの中でした。
試写で配られたリーフレットはかなり分厚く、
様々な背景が書かれていましたが、
「ファウスト」には言及されていなかったなー。
古典というのは、それくらい、人々の血となり肉となっているものなのかもしれません。
封切りは8月末。
時々、ドキッとするほど映像が美しいです。
それにしても…。
昨日の朝まで何の予備知識もなかったゲーテの「ファウスト」。
1日で手塚治虫の「ファウスト」とその翻案である「百物語」を読んで、
(夜には「ネオ・ファウスト」を注文し)
そんな翌日にこの映画に出会うなんて……。
こんな偶然ってあるのかな~、と
ちょっとドキドキしてしまいました。
- 舞台
- 19 view
「コッポラの胡蝶の夢」
- くらべて観る、くらべて読む
- コメント: 0
この記事へのコメントはありません。